2020年、夏の終わりの出来事。
僕は友人と川原でお弁当を食べながら黄昏てた。
すると、隣に外国人の親子が着席。
「かわいいお子さんだなぁ〜」と眺めてると、お父さんは僕らが食べてた色鮮やかなお弁当が気になる模様。
「そのお弁当、どこで買ったの?」
そんな一言から会話が始まった。
英語が多少できる友人はお父さんと、英語力皆無の僕はお子さんと遊ぶ流れに。
正直、はじめは乗り気じゃなかった。
僕は子供と遊んだことがほぼなくて、お正月に親戚のお子さんと会っても、気恥ずかしくて仲良くなれないタイプ。
けどエマちゃんは、そんな僕のバリアを無邪気さでやすやすと乗り越えてきたんだ。
気づいたら夢中になって、2時間近く一緒に遊んでた。
共に過ごした時間の中で、エマちゃんは自分らしく生きるとはどういうことなのかを、僕に教えてくれた。
どれも当たり前だけど、大人になるにつれて忘れてしまっていたことばかり。
心に刻むために、ここに書き残しておこうと思う。
(※ご両親の掲載許可をいただいてます。)
【目次】
①やってみたいことはすぐやる。違ったらすぐやめる。
エマちゃんは遊んでた2時間の間に、6回も遊びを変えた。
- ドングリあそび
- 川で水遊び
- 飛び石練習
- 猫じゃらし集め
- 遊具で体操
- かくれんぼ
といった具合。
「やってみたい!」と思ったらすぐにやる。「なんか違う」と思ったらすぐにやめる。
その変わりようについていけなくて思わず、「ドングリはもういいの?」と聞いた。
すると、「うん!やめたー!!」と言いながら走り去っていく。
その後ろ姿が、ものすごく美しかった。
やめることに一切の抵抗がない。引きとめる人がいても気にも留めない。
その潔さが、とてつもなく気持ちよかった。
しかも、新しい遊びを見つけたからやめるんじゃない。
やめてから、新しい遊びを探し始める。
先の見通しなんて全くないのだ。
ふと、新卒で入社した会社をやめた時のことを僕は思い出していた。
周囲に散々引きとめらた。
もっと見通しが立ってからでもいいのではと、自分でも思った。
将来の不安ばかり膨れ上がって、潔くやめられなかった。
けどいざやめてみると別に困らないし、空いた時間に楽しいことがたくさん舞い込んできた。
やってみたいからやってみる。違ったからやめる。
何の事情も抱えてなかったころ、毎日そんな風に生きてたはず。
これからも、先のことを考えすぎて身動きがとれなくなった時は、エマちゃんの後ろ姿を思い出してみることにしよう。
②できるかどうかは、やって確かめる。
遊んでた川には、向こう岸に渡るための飛び石があった。
石と石は1mほど離れていて、大人なら問題なく飛んで渡れる距離感。
けど3歳児にとって、1mは自分の身長以上。
「渡るのは到底無理だ」と思った。
けど、エマちゃんは全力で跳ぼうとしている。
「オイオイ待て待て」と止める僕を振り切ってジャンプ。
案の定、川にボチャン。
言わんこっちゃないと助けにいくと、楽しそうにケラケラ笑っている。
その姿を見てわかった。
「失敗したらどうしよう…」という思考がないんだと。
「失敗は恥ずかしいこと」という思考もないんだと。
やる前からできるかどうかなんて、考えてすらいないんだ。
だって意味ないから。
一方で僕は、人目が気になって仕方ない人種だ。
何かやってみる前は「上手くいくかな…バカだと思われないかな…」と内心ビクビクしている。
その結果、チャレンジすらしなかったことも数え切れない。
けどエマちゃんを見て、それってマジでもったいないと思った。
できるかどうかはやって確かめればいいし、できなかったらできなかったと笑えばいい。
そうやって生きてる人は、周囲から見ても恥ずかしいというより、気持ちいいはずなんだ。
③納得できるまで、何度でも挑戦する。
一度目の飛び石に失敗したエマちゃん。
その後もめげずに何度も飛んでいた。
しばらくすると、こちらにテクテク歩いてくる。
「さすがに諦めたのかな?」と思ったら、「靴脱がしてー」とお願いしてきた。
言われるがままに脱がしてあげると、今度は裸足で川に入り、向こう岸に向かって歩きはじめる。
全く諦めてなかった。笑
きっとエマちゃんは、諦め方を知らないんだと思う。
できなかったら、できるまでやる。
その方法しか知らないんだ。
僕も諦め方を知らずに生まれてきたはず。
けど、大人になる過程で諦め方を知ってしまった。
できない理由を探すのがうまくなってしまった。
何度も何度も挑戦する姿を見て、そんな自分に気づかされた。
結局この日は渡れず、うらめしそうに向こう岸を眺めてた。
きっと近いうちに渡り切るんだろうな。
④できないことは人に頼る。そして一緒に喜ぶ。
土手に繋がる斜面を降りようとするエマちゃん。
よろける姿を見て、危ないと思い止めに入ると「できるよ!」と自信満々に言ってくる。
仕方ないので、万が一こけても受け止められるよう、先に降りてスタンバイ。
瞬間、エマちゃんがこけた。
バランスを崩し、予想通り僕に抱きつく。
「ほら、できなかったじゃ〜ん!」
そう言おうとしたら、
「ほら、できたよ!」と誇らしそうに一言。
これにはハッとした。
僕の”できる”は、”1人でできる”だった。
けどエマちゃんの”できる”は、”2人ならできる”だったんだ。
自分1人でやり遂げないと、できたことにはならない。
そんな余計なプライドが、心のどこかにあった。
けどできないことは、人に頼ればいい。一緒にやり遂げて、一緒に誇ればいい。
ドヤ顔のエマちゃんを見て、そう思った。
⑤できることで人に貢献して、感謝を忘れない。
土手におりると、今度は猫じゃらしを集めはじめたエマちゃん。
「そんなに集めてどうするんだろ?」と眺めてると、「パパのとこいく〜」と言って走り始めた。
到着すると、パパと僕の友人に猫じゃらしをプレゼント。
喜ぶ2人を見て、エマちゃんも大はしゃぎ。
よほど嬉しかったのか、それからも集めては渡して、集めては渡してを繰り返してた。
しかも、一緒に猫じゃらしを集める僕にも「お兄さんと2人だからできたんだよ」と何度も言ってくれる。
尊すぎる…。
こんなこと言われたら、また手伝いたくなってしまう。
少しくらいワガママでも、受け入れたくなってしまう。
自分のできることで人に貢献する。手伝ってくれた人に感謝を伝える。
その分、自分ができない時は助けてもらう。
今、僕はこれができているだろうか?
余裕がなくなると、つい自分が得する方法ばかり考えてしまう。恥ずかしくなって、つい感謝を伝え損ねてしまう。
だから後ろ暗くて、困った時に1人で抱え込もうとする。
そんな自分に気づくことができた。もっとオープンに生きていいんだよね、きっと。
自分らしく生きるということ
- やってみたいと思ったらすぐやる。違ったらすぐやめる。
- できるかどうかはやって確かめる。
- 納得できるまで、何度でも挑戦する。
- できないことは人に頼る。そして一緒に喜ぶ。
- できることで人に貢献して、感謝を忘れない。
自分らしく生きるってこういうことだよって、3歳の先生が教えてくれた。
どれも、今の僕にはできていないことばかり。
エマちゃんもこれから大人になるにつれて、色んな事情を抱えていくんだと思う。
もしかすると、今のように自分らしく生きられない日がくるかもしれない。
そんな時は、今度は僕がエマちゃんの希望になりたい。
そのために、教えてもらったことを1つずつ実践していくんだ。
また一緒に川原で遊べる日を夢見て。
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