3歳の先生が教えてくれた、自分らしく生きるということ

2020年、夏の終わりの出来事。

僕は友人と川原でお弁当を食べながら黄昏てた。

 

すると、隣に外国人の親子が着席。

 

「かわいいお子さんだなぁ〜」と眺めてると、お父さんは僕らが食べてた色鮮やかなお弁当が気になる模様。

 

「そのお弁当、どこで買ったの?」

そんな一言から会話が始まった。

英語が多少できる友人はお父さんと、英語力皆無の僕はお子さんと遊ぶ流れに。

名前はエマちゃん(3歳)

 

正直、はじめは乗り気じゃなかった。

僕は子供と遊んだことがほぼなくて、お正月に親戚のお子さんと会っても、気恥ずかしくて仲良くなれないタイプ。

けどエマちゃんは、そんな僕のバリアを無邪気さでやすやすと乗り越えてきたんだ。

気づいたら夢中になって、2時間近く一緒に遊んでた。

共に過ごした時間の中で、エマちゃんは自分らしく生きるとはどういうことなのかを、僕に教えてくれた。

 

どれも当たり前だけど、大人になるにつれて忘れてしまっていたことばかり。

心に刻むために、ここに書き残しておこうと思う。

(※ご両親の掲載許可をいただいてます。)

 

①やってみたいことはすぐやる。違ったらすぐやめる。

ドングリを転がして遊ぶエマちゃん

エマちゃんは遊んでた2時間の間に、6回も遊びを変えた。

  • ドングリあそび
  • 川で水遊び
  • 飛び石練習
  • 猫じゃらし集め
  • 遊具で体操
  • かくれんぼ

といった具合。

「やってみたい!」と思ったらすぐにやる。「なんか違う」と思ったらすぐにやめる。

その変わりようについていけなくて思わず、「ドングリはもういいの?」と聞いた。

すると、「うん!やめたー!!」と言いながら走り去っていく。

 

その後ろ姿が、ものすごく美しかった。

 

やめることに一切の抵抗がない。引きとめる人がいても気にも留めない。

その潔さが、とてつもなく気持ちよかった。

 

しかも、新しい遊びを見つけたからやめるんじゃない。

やめてから、新しい遊びを探し始める。

先の見通しなんて全くないのだ。

ふと、新卒で入社した会社をやめた時のことを僕は思い出していた。

周囲に散々引きとめらた。

もっと見通しが立ってからでもいいのではと、自分でも思った。

 

将来の不安ばかり膨れ上がって、潔くやめられなかった。

けどいざやめてみると別に困らないし、空いた時間に楽しいことがたくさん舞い込んできた。

やってみたいからやってみる。違ったからやめる。

何の事情も抱えてなかったころ、毎日そんな風に生きてたはず。

これからも、先のことを考えすぎて身動きがとれなくなった時は、エマちゃんの後ろ姿を思い出してみることにしよう。

 

②できるかどうかは、やって確かめる

遊んでた川には、向こう岸に渡るための飛び石があった。

石と石は1mほど離れていて、大人なら問題なく飛んで渡れる距離感。

けど3歳児にとって、1mは自分の身長以上。

「渡るのは到底無理だ」と思った。

 

けど、エマちゃんは全力で跳ぼうとしている。

「オイオイ待て待て」と止める僕を振り切ってジャンプ。

 

案の定、川にボチャン。

言わんこっちゃないと助けにいくと、楽しそうにケラケラ笑っている。

その姿を見てわかった。

「失敗したらどうしよう…」という思考がないんだと。

「失敗は恥ずかしいこと」という思考もないんだと。

 

やる前からできるかどうかなんて、考えてすらいないんだ。

だって意味ないから。

一方で僕は、人目が気になって仕方ない人種だ。

何かやってみる前は「上手くいくかな…バカだと思われないかな…」と内心ビクビクしている。

その結果、チャレンジすらしなかったことも数え切れない。

 

けどエマちゃんを見て、それってマジでもったいないと思った。

できるかどうかはやって確かめればいいし、できなかったらできなかったと笑えばいい。

そうやって生きてる人は、周囲から見ても恥ずかしいというより、気持ちいいはずなんだ。

 

③納得できるまで、何度でも挑戦する

一度目の飛び石に失敗したエマちゃん。

その後もめげずに何度も飛んでいた。

しばらくすると、こちらにテクテク歩いてくる。

 

「さすがに諦めたのかな?」と思ったら、「靴脱がしてー」とお願いしてきた。

言われるがままに脱がしてあげると、今度は裸足で川に入り、向こう岸に向かって歩きはじめる。

全く諦めてなかった。笑

 

きっとエマちゃんは、諦め方を知らないんだと思う。

できなかったら、できるまでやる。

その方法しか知らないんだ。

 

僕も諦め方を知らずに生まれてきたはず。

けど、大人になる過程で諦め方を知ってしまった。

できない理由を探すのがうまくなってしまった。

何度も何度も挑戦する姿を見て、そんな自分に気づかされた。

向こう岸を見つめるエマちゃん

結局この日は渡れず、うらめしそうに向こう岸を眺めてた。

きっと近いうちに渡り切るんだろうな。

 

④できないことは人に頼る。そして一緒に喜ぶ。

土手に繋がる斜面を降りようとするエマちゃん。

よろける姿を見て、危ないと思い止めに入ると「できるよ!」と自信満々に言ってくる。

 

「できるよ!」の顔

仕方ないので、万が一こけても受け止められるよう、先に降りてスタンバイ。

瞬間、エマちゃんがこけた。

バランスを崩し、予想通り僕に抱きつく。

 

「ほら、できなかったじゃ〜ん!」

そう言おうとしたら、

「ほら、できたよ!」と誇らしそうに一言。

これにはハッとした。

ドヤ顔エマちゃん

僕の”できる”は、”1人でできる”だった。

けどエマちゃんの”できる”は、”2人ならできる”だったんだ。

 

自分1人でやり遂げないと、できたことにはならない。

そんな余計なプライドが、心のどこかにあった。

 

けどできないことは、人に頼ればいい。一緒にやり遂げて、一緒に誇ればいい。

ドヤ顔のエマちゃんを見て、そう思った。

 

⑤できることで人に貢献して、感謝を忘れない。

土手におりると、今度は猫じゃらしを集めはじめたエマちゃん。

「そんなに集めてどうするんだろ?」と眺めてると、「パパのとこいく〜」と言って走り始めた。

 

到着すると、パパと僕の友人に猫じゃらしをプレゼント。

喜ぶ2人を見て、エマちゃんも大はしゃぎ。

 

よほど嬉しかったのか、それからも集めては渡して、集めては渡してを繰り返してた。

しかも、一緒に猫じゃらしを集める僕にも「お兄さんと2人だからできたんだよ」と何度も言ってくれる。

 

尊すぎる…。

こんなこと言われたら、また手伝いたくなってしまう。

少しくらいワガママでも、受け入れたくなってしまう。

 

自分のできることで人に貢献する。手伝ってくれた人に感謝を伝える。

その分、自分ができない時は助けてもらう。

今、僕はこれができているだろうか?

 

余裕がなくなると、つい自分が得する方法ばかり考えてしまう。恥ずかしくなって、つい感謝を伝え損ねてしまう。

だから後ろ暗くて、困った時に1人で抱え込もうとする。

そんな自分に気づくことができた。もっとオープンに生きていいんだよね、きっと。

 

自分らしく生きるということ

家に帰るとパタッとねむってしまったそう

  • やってみたいと思ったらすぐやる。違ったらすぐやめる。
  • できるかどうかはやって確かめる。
  • 納得できるまで、何度でも挑戦する。
  • できないことは人に頼る。そして一緒に喜ぶ。
  • できることで人に貢献して、感謝を忘れない。

自分らしく生きるってこういうことだよって、3歳の先生が教えてくれた。

どれも、今の僕にはできていないことばかり。

 

エマちゃんもこれから大人になるにつれて、色んな事情を抱えていくんだと思う。

もしかすると、今のように自分らしく生きられない日がくるかもしれない。

そんな時は、今度は僕がエマちゃんの希望になりたい。

 

そのために、教えてもらったことを1つずつ実践していくんだ。

また一緒に川原で遊べる日を夢見て。

 

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